就業規則作成サイトTOP >> 就業規則作成のポイントと道しるべ(退職、定年、再雇用)
退職、定年、再雇用
今後、高齢者の活用は労働力を確保する上でも非常に重要なポイントとなります。
メリットとしては、仕事に熟知している方を賃金を下げてあるいは労働条件を下げて、再雇用することができるということです。しかしながら、労働力確保のため必要とはいえ、健康上問題があり休みがちになりそうな人や周囲と協調できない人、あるいは、自分より年齢の低い者や元の部下であった上司とうまくやっていけないようでは、問題が出てくることになります。
助成金の活用のために、「希望者全員を65歳まで再雇用する」規定されている場合がありますが、よく会社の方向性を考えて制度を構築する必要があります。
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高年齢者等雇用安定法が改正され、平成18年4月1日から施行されました。
定年について就業規則に記載する項目としては、定年は60歳であること。継続雇用等再雇用制度については、「定年後の再雇用に関する規程」(仮称)によるなどとしておき、再雇用の基準を定める場合は、就業規則に具体的に基準を定めておくことを推奨しています。
下記に、法的な判断基準がありますが、当然労使協定も合わせて締結しておく必要があります。(労使協定不調の場合は当分の間就業規則に規定することでOKです。)
(高年齢者雇用安定措置の概要)
65歳未満の定年を定めている事業主については、
・65歳までの定年の引き上げ
・継続雇用制度の導入
・定年の廃止
のいずれかの措置を講じなければなりません。ただし、継続雇用制度を導入する場合、労使協定で基準を定めたときは希望者全員としないことができます。
具体的な基準の例として、厚生労働省のパンフレットにのっているものを下記に記載しておきますので参考にしてください。
また、労使協議が不調に終わった場合には、施行から政令で定める日までの間、就業規則等で基準を定めることができるというものです。
具体的な基準の例(厚生労働省)
- 「働く意思・意欲」に関する基準の例
・引き続き勤務することを希望している者
・定年退職後も会社で勤務に精勤する意欲がある者
・本人が再雇用を希望する意思を有する者
・再雇用を希望し、意欲のある者
・勤労意欲に富み、引き続き勤務を希望する者
・定年退職○年前の時点で、本人に再雇用の希望を確認し、気力について適当と認められる者
- 「勤務態度」に関する基準の例
・過去○年間の出勤率○%以上の者
・懲戒処分該当者でないこと
・人事考課、昇給査定において、著しく評価が悪くないこと
・無断欠勤がないこと
- 「健康」に関する基準の例
・直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がないこと
・直近○カ年の定期健康診断結果を産業医が判断し、就業上、支障がないこと
・60 歳以降に従事する業務を遂行する上で支障がないと判断されること
・定年退職○年前の時点で、体力について適切と認められる者
・体力的に勤務継続可能である者
・勤務に支障がない健康状態にある者
- 「能力・経験」に関する基準の例
・過去○年間の賞与考課が管理職○以上、一般職○以上であること
・過去○年間の平均考課が○以上であること
・人事考課の平均が○以上であること
・業績成績、業績考課が普通の水準以上あること
・工事
・保守の遂行技術を保持していること・職能資格が○級以上、職務レベル○以上
・社内技能検定○級以上を取得していること
・建設業務に関する資格を保持していること
・技能系は○級、事務系は実務職○級相当の能力を有すること
・定年時管理職であった者、又は社内資格等級○以上の者
・○級土木施工管理技士、○級管工事施工管理技士、○級建築施工管理技士、
○級造園施工管理技士、○級電気工事施工管理技士等の資格を有し、
現場代理人業務経験者又は設計者である者
・企業に設置義務のある資格又は営業人脈、製造技術、法知識等の専門知識を有していること
- 「技能伝承等その他」に関する基準の例
・指導教育の技能を有する者
・定年退職後直ちに業務に従事できる者
・自宅もしくは自己の用意する住居より通勤可能な者
・勤続○年以上の者
退職に関する規定についての着眼点
・退職事由について、休職満了、行方不明、問題行動後の退職宣言等の規定を入れているか
・退職手続きについて、引き継ぎ、誓約書の提出など規定されているか
・退職後の規制として、機密・個人情報・得意先情報等の漏洩禁止、競業行為の禁止等を規定しているか
・円満退職とは
・退職金との関係を定めているか
就業規則作成の道しるべ
- 退職とは、労働者からの意思表示により労働契約を解消することをいいます。
よく問題になるのが、会社に出てこなくなり連絡不能となって手続上困ってしまうことです。この場合解雇するにも相手方がいないので裁判所の公示送達による他解雇の意思表示ができません。そこで、就業規則に根拠をおいて退職扱いとする旨定めておきます。
また、何かのトラブルで「こんな会社辞めてやる」との言葉を吐き捨てて、次の日から会社に来なくなるケースもあります。退職の意思表示なのかどうかは状況により議論があるところですが、何もなく手続きをすれば、半年後に会社に出てきて解雇無効であることを主張して、解雇予告手当を請求するなど(解雇予告手当詐欺と呼んでいる)の事案が発生したことも有ります。就業規則上に根拠を置いておく必要があります。
- 労働契約の付随義務として、誠実勤務義務があります。
退職願を提出したからといって、労働契約中であることはかわりません。ところが残りの期間を有給を使い、引き継ぎを完遂せずに退職しようとする者が問題としてでてまいります。この場合、退職金にも絡むことですが、円満退職を理由に退職金を支給することを規則上制定しておき、履行を促すことにより、業務に支障をきたさないようにするべきです。
当然、円満退職とはどういう退職なのかを規定しておく必要もあります。
また、最近の個人情報や機密取扱い事項の漏洩防止という観点から、退職後の誓約書の規定やパソコンはもとより机等の持ち物の確認をすることなども規定しておかないとトラブル発生の原因となります。
- 退職後についても、退職前と同様に個人情報の遵守や機密情報の漏洩禁止義務があることを明確にして、それに対し起きた損害については賠償請求することも規定しておきます。
顧客を奪う行為、社員を引き抜く行為についても規制しておく必要があります。
退職後の労働者の競業避止義務とは、退職後に競争的性格をもつ同業他社に就職したり、自ら独立して会社を設立したりする競業行為をさせない不作為義務をいいます。この競業避止義務が有効かどうかについては、
ジュリスト「労働判例百選」によりますと、退職後の労働者が信義則に基づく競業避止義務を負うか否かについては否定的見解が多数説です。
そこで、多数説は労働者の競業避止義務が法的根拠を就業規則に求めていますので、就業規則に規定していない場合、競業避止義務を負わせられないと考えるべきです。
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