休職(うつ病)への対応|就業規則の作成(大阪・京都)

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休職(うつ病)

休職制度の規定については、うつ病などの精神疾患に伴う私傷病休職が増え、うつ病休職に伴うトラブルが増加していることからも、就業規則作成の上で最重要な規定項目としてとらえる必要があります。

「休職にあたっての誓約書」の提出をお勧めします。

休職規定の着眼点
・復職に際し、就業規則へは必ずこの一文を
・「診断書」と医師への面談
・復職後の職務と治癒
・業務上の疾病と本人が主張

就業規則作成の道しるべ

  • 休職制度とは
    休職制度を設けるかどうかは会社の自由です。休職制度(私傷病休職)は、労働契約の義務である労務の提供を労働者が原因で履行できない場合に、本来は解雇となるべきところを一定期間猶予する措置だと考えられます。一定期間をもって回復の可能性がある場合には休職、可能性のないと会社が判断した場合は解雇となります。この休職制度を設けるかどうか、休職制度の対象者が正社員だけなのか、休職期間はどれだけなのかは、すべて会社の判断で決定されることになります。これら休職制度に関する規定は、就業規則に整備しておく必要があります。
  • 休職制度に入る前と復職の判断にあたっての診断書の提出と医師への面談
    診断書の提出や医師への面談を拒否されたりする場合をよく見受けます。そのときはプライバシーを主張されたりします。しかし、労働を提供できない或いは不完全な労働しか提供できない債務不履行が原因の解雇猶予措置としての休職ですから、復職できるという証明は労働者側にあり、これを拒否することは、復職を認めないことになり、退職若しくは解雇の措置を取ることもやむをえません。(大建工業事件 大阪地判平15・4・16)このことは就業規則上に規定しなくても有効と考えますが、規定しておいた方がわかりやすくトラブルの防止や予防にもなります。また診断書代は労働者が負担すること、本人同席のもと医師の意見を聞くことあるいは、医師の意見を聞くことに対する同意書を取ること、または会社指定医の診断を受けることなどを規定しておくことがよいでしょう。
    就業規則の規定で見受けられるものに「業務外の疾病により1か月を経過しても治らない場合に休職を命ずることができる」のような規定があります。疑問点は、うつ病で会社秩序が混乱に陥っている状況でも1か月が経過するのを待って、休職発令をするのでしょうか?すぐに発令できるように就業規則を直ちに変更しましょう。
  • 復職後は元の職務への復帰か、それとも軽易な職務へ配置転換する必要があるのか(治癒したか)
    復職の要件は「治癒」したか否かに関するものになります。
    裁判例の傾向では、職種が限定されていないものについては、原職復帰ができなくても配置可能な業務があればその業務に復帰させるべきという方向です。以前は原職復帰の必要があると考えられていました。しかしながら、中小企業すべてに当てはまることではなく、現実に軽易な業務がない場合や現実に配置転換などしていない例も多く一概に言えません。
  • 私傷病休職なのに、業務上が原因でうつ病になったと主張されたら
    就業規則の規定に「休職期間が満了し、復職できないときは退職(解雇)とする」と規定されている例が多いと思います。ところが、復職前に「業務上のプレッシャーが原因で私はうつ病になった」ということを主張される場合があります。これが業務上であれば、労働基準法第19条により、業務上の負傷疾病にかかり療養のため休業する期間とその後30日間は、解雇できないことになります。退職であっても就業規則上の規定は無効と考える必要が出てきます。
    精神障害について業務上か否かを判断する指針としては「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」(平11・9・14 基発第544号)が参考になります。これはあくまでも労災認定の指針ですが、業務上であるなら、傷病手当金をもらうことはできず、労災申請することになります。労災申請を待つことも一つの方法ではあります。しかし、労災認定を待っている間に休職期間の満了が来ることも有ります。企業としての対処方法を間違えるととんでもない方向に行きかねません。
  • 就業規則の復職の規定には必ずこの一文を入れましょう
    最近の傾向として、復職後、完全な状況で元の職務に復帰できずに規定上は退職であるのだけれど、軽易な職務に復帰させるべきという流れが主流になっています。 また、ここの所で従業員とトラブルになる可能性もあります。ただ、軽易な職務といっても大企業ならともかく、中小、零細企業にそんな職務も余裕もないというのが 実態ではないでしょうか?この軽易な職務に従事させるのは、当然ある程度の期間において完全に元の職務に復帰できることが条件となりますが、問題は、元の職務に復帰できるまでの 賃金です。そこで、私がお勧めするのは、元の職務に復帰できるまでの間は、その軽易な職務に応じた賃金にするということを約束つまり就業規則に規定します。できれば、 具体的に軽易な職務のパターンを何通りか作って、その間の賃金を決めておきます。また、そもそも年齢給や職能給を採用している企業については、賃金規程や人事規程そのものを変更する必要があります。

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